もどってきた異邦人



「お客様、ペットのおもちこみは禁止となっております」

ねこを抱いたまま本屋にはいると、営業スマイルに立ちはだかれて、ぼくは鼻血をふいたあと、たぶんうさぎのごとく真紅であろうひとみできっとにらんでみせたのさ。

「もう死んでるからさわがないよ、おねえさん」

営業スマイルはさっとひっこんで、肌色は青色になった。
ぼくは血だらけの顔でにんまりとほくそえんで、ずけずけと店の中にはいっていった。



すぐうしろから足音が、きこえる。




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