リリイ



自分は二人じゃない
自分で自分の味方はできない


一人でいれば
好きなだけ泣ける
満たされないけれど


どこかに ぼくを求めているきみがいるのなら
ぼくがきみにしてほしいことは一つだけで
たった一時でいいから
きみとぼくとを
繋ぎとめていてって
それだけで


自分は他人じゃない
自分で自分は愛せない


耳をふさげば
悪口も聞こえない
わかっていたけれど


どこかに ぼくを求めているきみがいるのなら
ぼくはきみのために何をしてあげられるだろう
淋しさに泣いているのなら
ぼくときみとを
繋ぎとめられるようにって
それだけで


ぼくの目は見えなくなくなるかもしれない
ぼくはきみじゃないから
心の底で発光するリリイが
確かに 水をくれるきみを求めている


どこかで
名前を呼んでもらいたくて
泣いているきみがいるのなら
きみのリリイは暗色じゃない
ぼくと同じ色に光っているよ
たった一時という頼りない糸が
ぼくらを繋いだんだ


自分は二人じゃないから
きみのリリイは
美しく灯るんだ



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