無題16



生きることは
目を開けたまま見る悪い夢みたいだ


色に喩えるならヒステリックな黒


夜毎に噛み締めるのは
したたりおちる穢れた白
恨んだ目をしながら孕んでいるのは
押し殺す猛り狂う赤


ヒステリックな黒は凶暴で
ヒステリックな黒は広大で
歩んでゆけば 足の先から ぼくを覆ってしまうんだ
穢れた白は生温く
穢れた白は球体で
つつけば びらりと花咲く みだらな蕾だ
猛り狂う赤は強烈な痛み
猛り狂う赤は心の奥で
鋭く脈打つ とんがった ぼくの現実さ



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