無気力ダーリン



「きみがすきだよ」
”殺したくなるくらい?”


薔薇がさいている
あの赤がきらいだ
目なんて見えなければいい


殺してくれ
殺してくれ
どうしても
明日が要らなくなってしまう
歪んだ顔も したくないし 逃亡するには足が短い
きみの手ならばまだきれいだろ
初めての汚れをぼくが捧げよう


「あいしているの」
「きみのためなら」
「わたしは 何だって できそうさ」


夜が来た
星なんか数えない
どうせ神さまが作った 暇つぶしのイルミネーション


殺してくれ
殺してくれ
きみが好きな方法で
「絞首刑?」「溺死がいい?」
「ガスだってある 準備万端よ」
きみの手ならば まだきれいだろ
初めての汚れをぼくが捧げよう


「水銀?」「薬?」「ナイフだってある」
”何でもそろうなら転落死がいい”
何せ 前から神さまが嫌いでね
最後に見せしめに飛んでさ
全てのものに限界をつくるあいつを 驚かせてやりたいんだ


「世界一の飛び込み台」
「命綱なしで 鳥になれ」
完璧だ すばらしい! なんて高いんだ
重力を超えた一瞬の飛行に 神さまも驚いてくれるかな?


さて さよならしよう
最後の合図を鳴らすのは ぼくを愛してくれた美しい白い手。
「わかったよ だってあいしてるから」
”ありがとう ぼくも愛していたよ”
ぼくの頭が潰れたら、その瞬間に
次の恋に生きるんだよ



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