カクセイ
なぜ きみもぼくも そんなにこわがっているのだろう 夜。過去。死。むしろ生。息をすること。人の目。声。視線。 動物になれればって何回願ったっけ。 彼らが見ている世界なんて 全く違うのに 同じように思い込んで 無様に手を組んでね。 泣いた回数をあげればきりがない、 子どもであることは二度と望めない、 笑わなかったのを後悔したって あの時のぼくらは笑えなかった。 あの日、きみがぼくのいのちを 止めようとしたのも そして今ぼくが生き延びているのも 「誰かのせいではない。」 「そうすることは許されない。」 なぜ、きみもぼくも、お互いを、抱きしめられないのだろう 内臓がぐちゃぐちゃになるほどに、傷つけたくなるのだろう。 きっと、互いの痛みが、まざりあっちゃうからだろう 灰色から、カクセイするために、ぼくらはこわがりながら きみというじぶんをころしているのだね 戻る |