新編寓話



辛いミンティア噛み砕き
うさぎと一緒に 巻き舌の練習
「るるるるるぁ」「るるるるるぁ」
蜻蛉の羽盗んだらぼくだって飛べるんだもん


きみの瞳は充血してて、なんだかうまく見えないみたい
ここは古い駅だったんです
思い出せない


咲き誇るコスモス
コンバースで蹴散らして
ぼくらはぐるぐると
ぼくらはぐるぐると
くじらの雲は血まみれになって 崩れて消えたよ
銃に撃たれたんだ


甘いチェリーのリップクリーム
かくれんぼしよう ぼくを見つけて
「とんとんとんとん、」「とんとんとんとん、」
薄暗い窓を 誰かが叩く


こぼれおちないように抱いていて
心の中で擦ったマッチは
とっくに 虹彩をとらえた。


咲き誇る桔梗の花
コンバースで蹴散らして
手をとりあいワルツを踊る
いつか見た絵本のおさらい
閉じられたページにはさまれて
ぼくらは消えてしまうんだよ
ほら そこに立っているうさぎも
目をふさいでいる


くじらの雲は血まみれになって まっさかさまに落ちてきた
花びら粉砕 綿の肉 宝石の血
ドライアイスめいた白が 視界を覆って
ぼくらは消えてしまうんだよ
ぼくらは消えてしまうんだよ



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