noise



愛をせがんで
愛してもらって
愛し尽くされたらまたふらり
別のばしょを見つけにいく
淋しさもある
コドクでもある
行き先はあてずっぽう 見つけたら ぽいっと仲間入り
そしたらまた愛をせがむ


ぜんぶ自分が可愛くないってところから、来ていた
ぼくじゃぼくを愛せないから
「ねえきみ、いっちょう、ぼくを愛してくれる?」
上手くいかないときもあるから
そういうときは 付属品を増やした
「聞き上手になりました!」
「ちょっとお洒落になりました!」
「ジョークの質を良くしました!」
大見出しの宣伝文句につられ
ついてくるやつはついてくる
でもそんなことしたって 奥底は 満たされないよ


だけどぼくがいくら ふらふらしたって
右手に握り締めた小さなものがあって
実は 帰れるばしょなんていくらでもあって
本物の愛を食べさせてくれる人も大勢いて
なのにぼくは淋しさやコドクしか見ないで
自分の傷だけつついて泣いて
ぼくの世界の核である 小さな小さな繋がりを 愛せない
ぼくの大好きな空
ぼくの大好きな木
ぼくの大好きな歌が
そこには常に満ち溢れてるのに
ぼくはいつまでたっても ふらふらして
ぼくを待ってる人たちに さよならもありがとうも言えないで


今だって 奥底で ノイズが鳴ってる
ケータイの着メロが ぼくを呼んでいる
ぼくは小さな冷たい機械を拾って 静かに 着信音を消す
きみたちの声がきこえないように



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