月が出ている気がした唄



こんにちは
傘をさしています
せっかく咲いたピンクも 死んでしまいそうですね


今日は大好きなあの子に
話しかけようとしたけれど
あの子はよその男と 楽しそうに笑いながら
小さな路地に 消えていった


月が出ている気がしたんです
月が出ている気がしたんです


こうもり傘は 雨粒のすべりだい
しぼんだ薔薇が あの子のとがった
唇みたい
奪いたいから 花びらとキス


月が出ている気がしたんです
月が出ている気がしたんです


ほんとはね
もっと おいしいご飯が食べたいんです
空飛ぶ鯨にも 乗ってみたいんです
たくましい男になりたいんです
あの子が笑ってくれるなら ぼくは自分の臓器でも 何だって差し出すつもりです
今のぼくが持ってるものじゃ あの子の花を咲かせてやれない
あの子の花を咲かせてやれない


あの子はよその男と 楽しそうに笑いながら
小さな路地に 消えていった
雨傘持つぼくは 誰のむかえも来ないから
きっと夜まで 突っ立っていられる
お空がますます 嘆くから
ぼくの顔もまっさおくなって
思わず空を見上げたのです


月が出ている気がしたんです
月が出ている気がしたんです
でも ほんとのお空は
ただ鉛色に濁って
てんで 見えやしなかったんです



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