短歌1



・目の端に咲き乱る花滲んでく 涙を筆に眼球キャンパス


・声涸れた一匹狼 雪道に黒い足跡てんてん残し


・「もう駄目ね」こうして見捨てられてゆく 牙を生やした出来損ないは


・いい子だね、の一言でいい、ばらばらの、体をつないで、お願いだから


・夜の露は真実映す 運命線行く末たどる わたし終わるの?


・あの子のもあの子もあの子も破れてる この年代に処女はいないね


・きみとぼく境界線が繋がった とても無慈悲な音を響かせ


・つんざいたオーロラちぎれる音が降る それは雨よりもっと冷たい


・さびしいと言った途端にきみ背負う荷物が重くなるのを見たから


・息がよくできないほどに厚くしたマスクをつけて今日も微笑む


・あの電車誰かをはねた跡がある だけどみんなは普通に乗ってる


・爆音のアンプとマイクがギラギラと ライブハウスは無重力です


・月桂樹切り裂くように成長す 春に産まれた緑の怪物


・寒い夜はうさぎの耳をかりて聴く 遠い誰かが呼吸する音



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