イースターの頃



逃げた時間のあいだ 何をしてたのかといいますと
夢をみていたのですよ ずっと
満月の夜に いるかにのって
無人島まで遊びにいく夢をね


無人島では美しい女が待っていて
わたしと遊んでくれたのです
邪魔者はいやしません
そこは楽園でした


わたしから繋がったコードを 誰かが切ったのです
鋭いナイフしか知らない 黒ずくめの男が
ここは真っ白な部屋でした 雪に似た温度で
わたしはただ座っているだけだったのです


わたしのカゴは空っぽになっていました
芝生をかけまわる兎すらいませんでした
時間の卵に足が生えて
どこかへ逃げてしまったのです
わたしは夢をみていたのです
現実だと思い込んで
目の前にチェーンソーを持った男がいます
けれどわたしは死ねないのです


男はそれをふりあげて わたしの腕に食い込ませました
わたしは地面に転がって 歌い続けるのでしょう
真赤な血が部屋を染めてゆきます
けれどわたしは死ねないのです



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