スタードーム



ぼくは 体のすみずみまで寒くないように
くまの真似をした洋服を着ているんだ
瞳から凍らないようにあったかい色の
もう少しで薄荷パイプが吸えるようになる年ごろ


息が真っ白にぬりつぶされる頃は
星のお化粧にとくべつ気合が入る
柿の木がめいっぱい
そのおしろいの匂いをかごうとしてる
そんなもの見ていればさみしくないよ


一本道はどこも
大きな紺のドームにくるまれた
小さいときに読んだ絵本の一場面
きっとそういう中をぼくは歩いてる
パッチワークされた中を歩いてると
胸に一筋の細いはやてが
すばやく駆けぬけて
ぼくを立ちどまらせる


そうすると耳はただ沈黙に飲まれて
ぼくのくまの洋服も役に立たなくなる
星がつぎつぎに笑って消えていく気がするんだ


ぼくそういうものは
歩いていれば消えると思うんだ
くるんと上を向いた赤い鼻の先に
雪がふれるまで
ごまかすみたいに口笛ふいて
一本道をどこまでも歩いてゆくんだ


そんなもの見ていればさみしくないからね
そんなもの見ていればさみしくないからね



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