幽霊時代



埃だらけの上におかれた
きらびやかなシュシュの
アンバランスな愛しさよ


テストが最下位だったあの子の
不思議に長いまつげを彩る
通学路の桜なみき


楽しいね スカート揺らしているのは
楽しいね
ミラーボールの光で
纏ってもいない衣装が
きらきら揺れるのを見るのは


誇りだらけの髪に結われた
使い古しのシュシュが
いつの間にかほつれた


テストが最下位だったあの子は
マスカラで長いまつげを彩る
制服を脱いで


10代っていうのは
幽霊みたいなものなのだよと
光の中で踊っていられるのは
光の速さのあいだだけだよと
10代っていうのは
幽霊みたいなものなのだよと
ありもしないミラーボールが
見えるのは 今だけなのだよと



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