水風船



夜になると誰もいないってわかる
いるんだけどやろうとすれば
プッツン縁を切れるってこと
その細さにふるえて
眠れなくなる毎夜


あの子はこない
出したメールはとぎれ
ケイタイはふたたび死んだ


鼓膜がふさがって
喉もふさがって
でもあったかさは
ひろがってくから倒れない


無感覚のなかに
むじゃきな笑い声が
みがってなささやきが
水風船みたいに割れて
誰が投げてるの?
私も投げてるね
ふさぐべくしてふさいだんだ
分からなくならないように
分からなくなったんだよ


約束はハサミで
電波は距離で
気まぐれで一つ ちょん切るよ
ほしいものがあるから
いらないものを捨ててくよ
一瞬だって 同じではないけど
新しい大切をまもりたいって
一心に ねがっているからだよ



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