鼓動



とくとく打つ
心臓みたいなドラム
いつまで聴いていられるんだろう


あの工場すかした空の青
わたし以外の誰かが見ただろうか


誰かが
隣にいることは
誰にでも訪れる幸せじゃないんだよ


いつもあちらこちらに誠実じゃなくて
ざくろの実がなって落ちて
腐ってゆくところだけ見ようとするように


後悔してもね
それってやっぱり
向き合わなかった証拠だと
思うからね
こない電車なんてなくて
買えない切符だってなくて
事故も遅刻しょっちゅう、でも
それさえ恐れなければね


あなたが車掌になりな
帽子さえ被れば
行き先は自由
大切な人をのっけて
線路がないなら
自分でしいてしまえ
まっすぐにまっすぐに
とくとくと


とくとくと打つ
車輪のぜん動は
わたしがおわる先まで続く



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