腐りつつ空を見たのさ



[ 生き方をわすれてしまったんだ ]


あふれだすあんたのブルースが
カラッポの頭と鈴の音で話すぼくの体をつきとばした
そうかそうかそう思いやがったか、くせものだなあ、あんたも
けどぼくあんたがうらやましいよ
ただれる指の臭いで夜もねむれねーよ


[ このままじゃいけないよ。このままじゃ虹もかけらんない ]


ぼくはどうにかして羽ばたこうとしてんだ
じゃますんな


やわくなった爪のせいでギターもひけないよ
胸をつきさすメロディーをつぎからつぎへとかなでるあんた
ぼくあんたがうらやましいよ
黒猫が身をひるがえすようなみぶりもなにもかも
このからだにしみつかせたかったってのに
ぼくのからだ未だにくじらだもんよ
海をわすれたくじらだもんよ


[ 生き方をわすれてしまったんだ ]


落とし穴だ気をつけろ
ほら、ほらそこにバナナの皮が
ただそれをさけつづけてなんになるの?


あんたはこけながら笑うからね
ばかみたいだよ
けどぼくあんたがうらやましいよ
ぼくがすべって泥だらけになったら
笑うのはからすぐらいだもんよ


ハミングバードが昼を削ぐ



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