無題



こもれ日の中であの子が踊ってる
真っ白い洗いざらしのシーツ切って
作ったスカート


緑から何から生地に映して
あの子自身光ってるみたい
つんととがった生意気なつまさきで
かんぺきな円を何度も描きながら


みごとに回るね


あの子、たまにホースで水まいてるよ
踊るついでにお尻をつきだして
ひからびた土に水をあげようね


「ああ!ああ!」みみずやもぐらは
幸せそうに両手を伸ばしたんだ
渇いた喉にうるおいをくれる
大蛇のかまくびおさえた女神に


あんまり楽しそうに回るから
ためしにぼくも回ってみたよ
そうしたら枝がぼくの手をとって
一緒にわらいながら回るんだよ
こもれ日の中であの子とぼくは
台形のステージでまいたばかりの水はねあげて
裸足にひんやり感じながら
くるり・くるり・ぴん、しゃん、と


仕上げはぼくら
もったいぶって礼をしたんだ
そしたらぼくらの信者(みみずにもぐら)たちは
こずえみたいにいっせいに、さわさわ拍手したね



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