タイムマシン



あいつが乗ったタイムマシン
なんてかろやかに宙をかけるんだろ
虹色の尾をひいて時代を・指の先をきりさいてゆく


重たくなった体でとびはねる
みっともないアメリカ人は
ホットドッグをくわえているよ
すっかり老けた
まだ若いはずのロシアの娘は
前みたいに笑えてない
それでもみんなあいつのタイムマシンには
全てをかけて期待してるんだ
きっと上手くいかなくなったことを
元通りにしてくれるってね


あいつも昔は誇りに満ちてた
あいつも前のように上手くいかなくなったんだ
黄金に光る時空のうずにあいつは吸い込まれていった
ぼくにきらきら手をふってみせた


たとえ何も持って帰れなかったとしても
あいつは笑っているだろうよ
時代を裏切らないように
しずかに笑っているだろうよ
だからぼくは手をふってあいつを送り出したんだ
いってらっしゃい
いってらっしゃい


ほらあいつが乗ったタイムマシン
なんてかろやかに宙をかけるんだろ
みんながかたずをのむ中、今・不安をきりさいて



戻る