いったんもめん



着飾るのにうんざりして衣装をやぶきはじめた桜を背に
おやおや ご機嫌ないったんもめんがふわふわ飛んでゆく
空には電気が充満して逃げどころなんて微塵もありゃしない
ああ肩がこる 肩がこるなあ
まったくない肩がこるなんて不思議なこともあるもんだな


いったんもめんそのままぼくのこころを連れ去って
教室の窓からきみを見ているぼうっとしたこの目のたまを
終わりのベルが鳴るたびに
失恋マークみたいに
まっかな心臓ひび入る


ふにゃーん猫はあくびを一つ
せわせわ歩く人ごみの中をあんたを真似して歩いてみよう
体の芯がどこにあるのかもう分からなくなったろう
ああ平和だな 心地いいのかな
それとも芯なんて最初からないっけ?
まだ三色団子食べてないな
いったんもめん、急いでないね
だって同じところを気持ちよさそうにたゆたってるもの


あー雑踏に飽和するよ
ぼくが空気中にあふれ出してゆく
ふにゃーんふわふわ
せわせわふわふわ
自由でそのくせ鼻がつんとして
そこら中にいるのに小さいようで
ああ平和だな 心地いいのかな
ふにゃーんふわふわ ふわふわと



戻る