雑踏



ああやっと
飛び回っていたことばたちを
押し込めることができたみたいだ
(蟻みたいで本当にうるさかったんだ)
静かだ
悲しくもない
よかった
もう一人でも大丈夫なんだ


もう電車にのっても
人の目が気になったりしない
誰かに悪口を言われてるんじゃないかと
体をこわばらせることもない


好きなものも
できないことも分かってきた
やっぱり話すのは苦手だな
目立たないくらいがちょうどいいや
時々ふっと消えてるようなね
そんな静けさが気楽だな


やけつくみたいな嫉妬は
どうしようもなくて苦しかったな
できることをやればいい
シンプルでも生きていけるんだ


ぼくの選んだ道は
決して大したものではないけれど
誰にも見つけてもらえなくたって
もういいんだ


ぼくは歩いてゆける
人ごみにまぎれて
歩いてゆける



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