浅い川の底



浅い川の底にいる
透き通っているけれど
まぶしいものは和らぐ程度の


本当の音や色は
こんなものじゃない
刺すように痛いはず


菜の花の温度
雪が作ったほほの赤いろ
直視するのは苦しい
ぐるぐる回る人ごみの
価値観、物音、顕示欲と
くいちがってはちきれるんだ


あぶくに沈んだ人々は
みんな笑っているみたいで
ぼくは何だか楽しくて
安心できるから


(地球のレプリカを
人差し指で回している
飾り立てて高慢ちきな
あの娘はなれの果てさ


本当の音や色は
こんなものじゃない
針のように鋭くて
氷みたいにきれいなんだ
そうだろ?)



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