each other's man



冷たい荒野で
薄汚い望遠鏡をにぎりしめた



暖かい家で
耳なんてなければいいのにと
望む少年


(諭したいわけじゃない。なにかを見ているわけじゃない)
(自意識の平行移動の上、ぼくらは)
(馬鹿げた妄想を手に入れてしまった)
それが世界を崩壊させてゆく
本当なんて言葉こそ、そもそも
必要だったのだろうか


何万キロも離れた所でひ弱な茎が芽吹いている
"家畜"と呼ばれる動物らと
同じ目線に立ったときはじめて
ぼくらは自らの不必要さを知るのだ。


冷たい荒野で
薄汚い望遠鏡を叩き割った
凍えた頬の男は
梟を羨み
深海魚を追い
その挙句に暖かい家に辿り着いた。
憔悴しきった瞳と
潤んだ瞳がぶつかった時
少年は男を殺す



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