ゼロ



物事が動き出すとき
ちょっとした摩擦熱はつきもので、すこし痛かったりする


さまざまな弱さがうごめいてる
あちこちでさ
濡れた鼻先で確認したやわらかな花のつぼみ


時計の針が一つ分だけ進んだけど
あせらなくていいよ


さまざまな人が生きてる
あちこちでさ
濡れた鼻先で確認したきみの虚勢


静かに夜は暮れていくけど
おびえなくていいよ
蒼ざめた背中を月が照らす


まぶしかった陽は見えなくなるけど
ぼくの背はのびてくけど
歩くたび懐かしい景色を失っていくけど
このままひとりなのかもって、
ぼくがいなくなるかもって、
永遠のおわかれなのかもって、
悲しまなくていいよ


物事が動き出すとき
ちょっとした摩擦熱はつきもので、すこし痛かったりする


だから、きみが泣いたぶんだけきみはちゃんと
ぼくらと共に生きているよ



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