コーラルリーフ



オーロラのまたたく聖夜のこと
イッカクが海でぱちゃんとはねていた
望遠鏡のガラスがわれて、それは月面に着地した
そして星になった
虹色の


もちろんぼくは喉が渇いていたので
きみのいうように、海にもぐってみた
果てをみたような気分になって
ぬるい塩水にもまれた


カプン
トプン
ああ水がほしい


外はひどく寒く
ピンクいろのアジがきらきら舞っていた
ぼくは自分の顔面をなでてみて
誰からも必要とされていないことを知ってしまう


(きみはどこ?)
(マニキュアでぬられた爪をもう一度だけみてみたい)
(きみはどこ? しっかりとつないでるはずの手が)
(こうして離れているよ・・・・)


それは聖夜だった
回転木馬がとまり、路地裏で獣姦の悲鳴がきこえた
ぼくはきっとこれからも瞳孔のひかりかたをわすれません
誓います
それは聖夜に降った
嗅いだこともないような香水が滝のように
この先一生イッカクは現れないでしょう
(誓います。だから眼球よきみのすがたを捉えよ・・・・従えよ・・・・我慢できない)


生き返れ


カプン
トプン
ぼくは地の底へ



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