哀れみ小唄



哀れみ請うた


夜を三歩で闊歩した


哀れみ小唄
錆びた唄


なにをのぞむの?
なにものぞまないよ
それはうそなの?
しつもんだらけだね
なにをのぞむの?
どこへいくの?
どこへもいけないよ
どこへもいけないよ


静かに憂いがしのびよる。横顔は闇に沈む
カチリと音をたててはまった
記憶の鍵穴にさしこまれた言葉の束


哀れみ請うた
くちびる噛んで
平気なふりを唯ひたすら繰り返す。ねじ式のアルカロイドだ


蹴ってもまれて
こぶしが飛んで
頬にあたって
泥に飲まれた
ののしられて逃げ込んだ
洞窟の中でガス攻め
体を失くしたら
まっさおな青に消えてしまいたい
なにをのぞむの?
どこへいくの?
どこへもいけないよ。わかってるんだろ?
なにをのぞむの?
なにもいらないよ
ただなみだがでるんだ
ただなみだがでるんだ


手から離れた風船が、空を舞うよ
鳥のようだ



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