海を見る



諭すのも
悟るのも
こりごり


首筋のカミソリ負けが痛くて
やわらかい毛布すら棘を立ててる
憂鬱の果てに千里眼
死んだ鯨が目を簸る


蜂蜜の
瓶詰めに
溺れたい


魚になって魚眼レンズで
世界を知って全て忘れて
昨日のことも
明日のことも
放り投げてしまいたい


鮫に食べられて終わる一生でも
いい
巨大な波に漂う
銀色の一片でいい


一人称すら知らないほどの
ちっぽけな口で
無垢に息ができれば



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