青い魚



ああ 凍えそうだね
はじめから、なにも言うことはない


懐中電灯が深海でゆらゆらしている
たちのぼる水流が煙のようで
思わず目をほそめたらば
泡が花の真似をして散った


日だまりを長いことを見ていない気がして
睫を彩る
うんざりだ


自分しか見えない日々が
サンドイッチみたいに積み上げられて
息がつまる
夜の果てはもう答えないね


迷子の稚魚を
この棒になった腕でつかまえて
ぼくのなかに飼うから
鈴を砕いて
きみから離れて
言葉を忘れてしまえばいい


ああ 凍えそうだね
未来のための今は
潔く壊してしまおう



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